新型コロナウイルスの感染急拡大を受け、北海道の鈴木直道知事は23日、札幌市について「Go To トラベル」を一時停止する方針を示した。道内からは客が戻りつつあった観光への影響を懸念する声も出た一方で、理解を示す声も。国から判断を委ねられた形の都道府県知事らは「国が方針を示して」と不満をにじませた。
札幌市中心部から気軽に足を延ばせる温泉地、定山渓(じょうざんけい、同市南区)の観光協会によると、3連休は「Go To」で例年の11月よりも混雑していたという。年末年始への期待が高まっていた所に、一時停止の知らせが入った。観光協会の長谷川信之事務局長は「予約停止の期間やキャンセル料の負担など、詳細が分からないことには対策が打てない。年末年始に影響が出ないようにしてほしい」。
北海道は今月初め、札幌の繁華街・ススキノ地区の飲食店に対し深夜営業の時短要請をしたばかり。札幌市中央区の「ワインバー・ルー」の店主、池田卓矢さんは「『Go To』除外は深夜営業の短縮要請に続く打撃だ」。10月は「Go To」効果で東京など道外の観光客も多く、売り上げは好調だったが、今月初めの道の時短要請後、一時休業を決めていた。「忘年会も減って年末の売り上げも見込めない。昼営業やデリバリーなど新たな営業形態を考えないと」と頭を悩ます。
影響は周辺の観光地にも及ぶ。札幌に隣接する観光地の小樽市。みやげ物店など約120店が軒を連ねる小樽堺町通り商店街では、この3連休は札幌経由で来た若い観光客が多かったという。振興組合の坂口武さん(33)は「小樽には札幌に泊まって日帰りで来る人が多い。除外の影響は大きい」と心配する。
ただ、道内では連日200人超の感染者が確認され、医療も逼迫(ひっぱく)していることが伝えられるだけに、観光業界も複雑な表情だ。札幌市内のホテルの担当者は「経済を回すことも大事だが、感染症をおさえていかないことには仕方ない」と一時停止に理解を示す。このホテルでは7月以降、利用者のうち半数近くが「Go To」を利用。感染者の増加が目立ってきた11月はキャンセルが増えたが、この3連休は持ち直しの兆しも見えていた。担当者は「ここで感染を抑えないと影響が来年、さらにその後も続きかねない。今は耐えるしかない」。(榧場勇太、原田達矢、佐久間泰雄)
■不明確な国の基準に戸惑…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル